1. TOP  > 
  2. 新着情報一覧  > 
  3. ご挨拶 2020年11月

ご挨拶 2020年11月

第6回通常総代会の開催について

一般社団法人日本ブルーベリー協会
会長 江澤 貞雄


一般社団法人日本ブルーベリー協会第6期通常総代会にあたりまして一言ご挨拶申し上げます。
会員の皆様方におかれましては、長雨、豪雨、猛暑に加えて新型コロナウイルスの蔓延が続く中、いかがお過ごしでしょうか?
災害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。
協会は、栽培士講習会、通常総代会、ブルーベリーシンポジウム、交流会などの行事を例年通り実施することで作業を進めて参りましたが、コロナ問題が続く中、全てを中止することと致しました。 誠に残念です。総代の皆様には年一度の貴重な時間をなくしてしまいお詫び申し上げます。
また開催に向けて頑張って頂いた講師の方々や参加を予定して頂いた皆様には大変申し訳なく思っております。
今後日本の社会は、コロナウイルス蔓延と向き合いながら、それに打ち勝つ方策が必要とされてきています。そのような中、私は協会の役割が十分果たされているのか、進むべき方向に向かっているのか考えてみました。
現在協会は設立当初の目的であるブルーベリーの産業化の推進に力を注いでおりますが、それにはブルーベリーに関係する栽培者、加工者、観光業者、食材業者等の方々が生きがいとやりがいを実感する産業でなければなりません。更に業界全体の活性化を図らねばなりません。
そこで、私は次の2点を推進して参りたいと考えております。

(1)「ブルーベリー栽培士」を通じた情報交換
ブルーベリーは北海道から九州、沖縄まで品種を選ぶことで栽培ができるすばらしい作物です。そのため品種、栽培方法は各地域で異なって当たり前のはずです。全国一律の栽培方法では無理があります。剪定の仕方をみても品種によって、栽培目的によって変えるべきです。このため各地域で早くから栽培に取り組み実践しているブルーベリー先駆者の方に栽培指導をして頂くことを目的に栽培士制度を平成22年に設け、現在「ブルーベリー栽培士」に31名の方が認定され各地で頑張っています。
栽培者にとって品種選びは経営上最も大事です。本に書いてあった、誰かが良いと言ったから、それも選択法ですが、全国どこでも栽培できるブルーベリーですから栽培地に合った品種こそ最高です。会員の中には、試験場を上回るほど多くの品種を栽培している方もいるかと思います。
最も良い品種とは、その地域でじょうぶで栽培しやすく、食味も良く、収量も多い品種です。地域の栽培士を通じ、栽培仲間を増やし意見交換を行い地域に合った品種を見つけることが大事です。 地域に仲間がいない場合は、協会発行の会員名簿を開いて下さい。全国の栽培士名簿が掲載されています。個人会員名簿もありますので地図上で自分のところに似ている地域を探し、そこは平地なのか、海抜はどうか?100メートル、300メートル、500メートル、1000メートル、高さが違うだけでも同じ県内でも品種は異なります。そして連絡のとれる栽培士と自分の地域と似た会員と情報交換をして下さい。ブルーベリー栽培者は皆親切に相談にのってくれます。旅行する時は会員名簿をカバンに入れて会員の園の見学を計画に入れて下さい。私も栽培士の一人です。連絡頂ければ喜んで対応させて頂きます。

(2)自然環境を見据えての経営
今年の長雨、豪雨、猛暑は私のブルーベリー栽培三十数年の中で初めて経験することでした。
ブルーベリーの栽培適地は太陽の良く当たる所で、水はけの良い場所です、と常日頃語っていた私ですが、7月の長雨は作物の生長において最も大事な太陽を遮断してしまったのですから、収穫に大きな影響が出ました。4月から6月まで順調に成育中の果実は肥大が止まり、7月末まで降り続いた雨の影響で早生品種は裂果と落果で大きく収量減となりました。
加えてコロナウイルスの拡大が叫ばれる中、来園者数も例年通りにはいきません。猛暑の中での摘み取りには限界があります。しかし天候や自然には打ち勝つことができませんが、それに対処する方法を見出しながら進んでほしいと思います。
ピンチをチャンスにする発想をすることです。長雨にたたられた7月が過ぎると、猛暑の8月となりました。ところが8月の連日の猛暑で残った果実は最も甘いものとなり、実も充実して最高のものとなりました。開放感のあるブルーベリー園にはコロナウイルス拡大のリスクはさほど大きくはありません。これを生かさない手はありません。
温暖化の中、栽培方法や品種の切り替えも一手でしょう。
一例として、大粒でおいしいスパルタン、この品種は自根では栽培が難しいので、ラビットアイ種を「ど根性栽培」で植え、株元から数本シュートを発生させて一斉にスパルタンを接ぎ木すると良いでしょう。寒冷地の方は温暖化に対応してラビットアイ種の早生を植えるのも良いと思います。
千葉県の私は、以前試験場を上回る程の品種を植えていましたが、経済的栽培品種は早生のみで、中生、晩生は植えませんでした。なぜなら、中生の収穫時期になると入梅でショウジョウバエが発生するのです。そのためハイブッシュ種の早生から中休みして、ラビットアイ種へ切り替えたのです。ラビットアイ種は7月に入ると色づきますが収穫は完熟するまで待ち、学校が夏休みとなる中旬から摘み取り園を開園することにしました。
天候や自然に打ち勝つことはできませんが、それに対応する方法を各地域であらゆる角度から見出して頑張って頂きたいと思います。
最後に今期をもって退任される役員の方々は協会設立時から協会発展とブルーベリー産業発展のため、地域のみならず全国にマスコミ等を通し、私達会員はもちろん多くの方々にブルーベリーのすばらしさを伝えて頂くなど、多大な貢献をして頂きました。一人一人にお会いし御礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。今後もご支援とご指導のほどよろしくお願いします。お元気でお過ごし下さることをご祈念申し上げます。
新たに役員をお引き受け頂いた方は、新しい風と熱い情熱を持って日本のブルーベリー産業発展のためにお尽力下さいますようお願い致します。
猛暑は今年で3年連続です。来年の夏も猛暑が普通となるかも知れません。だが、新型コロナウイルスが終息すれば、自然環境豊かなブルーベリー園に人々はやって来ます。
一日も早く新型コロナウイルスが終息することを祈念致しますと共に、会員皆様方の益々のご健勝をお祈り致します。